The Yacoubian Building

a0085574_224558100.jpgエジプト人作家、Alaa Al-Aswanyの作品で2002年にアラビア語で出版、2004年に英語に翻訳されたもの。映画化は2006年。邦題も「ヤコビアン・ビルディング」そのまま。日本でも数年前のアラブ映画祭で上映されたとのこと。

カイロにある「Yacoubian Building」の住人達の生活を通して見た、1990年代初頭(湾岸戦争の頃)のカイロの生活、宗教観、風俗が描かれている。

アーディル・イマーム演じるフランスで教育を受けたエンジニアで、女好きな主人公。人生全体に影があるが、人情家である彼は姉妹との確執に苦しみつつも、最愛の女性を見つける。

ビルの掃除人の息子は国家を守るために警察官になりたいが、父親がビルのガードであるために警察官にはなれなかった。人生に対して閉塞感を感じ、不平等さを目の当たりにし、徐々に、イスラム原理主義に傾倒し、デモを扇動させられ、その結果逮捕される。その後、活動を扇動した影の人物が誰なのかを白状させるために警官に拷問され、復讐のためにその後、より過激な行動に出る。


a0085574_22472029.jpg好みの男性を見つけるために夜な夜な街に繰り出す、幼少時のトラウマに苦しむ同性愛者のフランス語新聞の編集長。

父親を早くに亡くしたため、家族のために働かなければならない若い女性。彼女は就職する先々で上司からのセクハラに苦しみ、職を転々とする。

靴磨き職人からビジネスマンとなり、政治家にまでのし上がった男性は精力絶倫で、2番目の妻を欲していた。アレキサンドリアの未亡人を秘密裏に妻に迎えるが、その妻が妊娠したことが発覚後、直ちに、彼女を堕胎させ、離婚。

アラブ・イスラム世界の男女観、イスラム原理主義、アラブ・イスラム世界における同性愛観、不平等さ等、およそ言及することがアンタッチャブルな題材を扱ったストーリー。暫く出版が許可されなかったのも、頷ける。

ちなみに、このビル、実在するもので、現在もカイロの街にあるらしい。前回のエジプト旅行では立ち寄れなかったのが残念。
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by ahirunoko724 | 2008-03-04 22:20 | 映画・音楽・本